Slow Vibration Atom by Lucas Dillon & Russell Maurice
ルーカス・ディロンとラッセル・モーリスは長い間、自分たちの作品を伝える道具として潜在意識を使うことに興味を持っています。 異なる時間軸や、空間、段階からイメージや物語をチャネリングすることで自分たちの発見を表現しながら、同時に私たちが共存する世界の姿も真っ直ぐに描写していきます。
彼らの作品はいろいろな段階で機能します――例えば批評として、あるいは質問として。ただ答えはめったに出ないのです。 彼らは、全ての事象は一つであるが故に相互に繋がっているという概念に基づき、自らの創作の方法論の性質を自我への考古学的な旅と捉えます。ディロンとモーリスにとって、全ては相互に繋がっており、1つの事象として共振しながら同じ空気を吸っているなら、幻想と現実の間に橋をかける試みは論理的かつ重要であると考えます。そして、そういった創作活動を実行することはこれらの概念を現実化することでもあるのです。
「Slow Vibration Atom(ゆっくりと振動する原子)」展に並ぶ作品は、喪失と発見について論じています。絵画の先にあるものは何なのか、過去に起こったことは何だったのか。ディロンとモーリスは壮大な物語と歴史の断片といえる一連の作品を発表します。 ディロンは現在の世界のエネルギーを投影するためにドローイングやペインティングという技法を用いながら別世界を描きます。 一方でモーリスも同様に歴史の描写をペインティングとスカルプチャーを通して表現し、すべての展示作品で捜索と発見の歴史の概要を描いていきます。
《本展に関する物語》
“ゆっくりと振動する原子”
沖合に出た 見上げても星はない。
眼下には細波の感覚。
端から端まで、地平線が水面と出会って1つの黒い縁になる。
それは君の鼻の頭のあたりか、もしくは1000マイルは離れているかもしれない。
平らな霧の中を 上に下に あがったり さがったり。
線が放り出されてもどしんとは響かない。
分厚い黒が徐々にもっと薄いものへと消え入り始める。
僕らはその中を通って動き始める。
下へ 上へ たぶん横にも そこに標はなく あるのは振動
ゆっくりとした静かなハミング 細くて黒い網
振動が増していき 地平線が開く
薄くて白い光が頭上から黒を漂白していく
また分厚くなっていく
僕らは深く落ちていく。
じゃあまたあとで。
Lucas Dillon ルーカス・ディロン
アイルランド出身のアーティスト。現在はロンドンで活動中。ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで美術専攻の大学院生学位を修得中。
彫刻で文学士号を取得。Air Sandas、Norway and Rupert、Lithuaniaなど世界各国で滞在制作プログラムに参加。また、展覧会も多く行っている。
www.lucas-dillon.com
Russell Maurice ラッセル・モーリス
東京で活動中。セントラル・セント・マーチンズで学び修士号を取得。2010年度インスティテュート・オブ・コンテンポラリー・アートのニュー・コンテポラリーに選出。
Medicom、Porter、Givenchy、Nikeなどのブランドとのコラボレーションを行いながら。世界各国で展覧会を開催。
russellmaurice.com
Slow Vibration Atom
会期 : 2017年9月16日(土)~ 9月30日(土)12:00~19:00(日曜日、月曜日休廊)
*9月15日(金)19:00~22:00 にてレセプション開催
入場 : 無料
場所: CALM & PUNK GALLERY
住所: 東京都港区西麻布1-15-15 浅井ビル 1F
calmandpunk.com