世界中のメッセンジャーの祭典“CMWC 2018 Riga” レポート第二弾!!

CMWC 2018 Riga

世界中のメッセンジャーが、一年に一度集う祭典・CMWC(Cycle Messenger World Championships)。ラトビア・リガで開催された26回目のCMWCの模様を、次号のLOOP MAGAZINEに先駆けて、現地に訪れたラスカルがフォト・レポートをお届けする。


DAY4

4日目はついにメインレースの予選。リガのメインレースは“RTU”と呼ばれる大学の敷地内にコースを組み、参加者は4つのグループに分かれて予選を走ることになった。僕は今回取材も兼ねていたため、ちかっぱやサンテと走るグループが被ったら、予選を走らないことも考えていた。彼らの予選通過を信じていたが、メインレースは何が起こるかわからない。ただし、僕らは運良く別々のグループに。走れる――そう決まると、僕は急にトイレに行きたくなった。

最初のグループがスタートし、レース会場を回って写真を撮っていると、ある異変に気づいた。レースで荷物を運んでいない。これまでのCMWCはチェックポイントで大小さまざまな荷物が用意されていたが、今回の予選はスタンプのみをもらう方式。これはもしかしたら勝敗に影響を及ぼしたかもしれない。

メインレース後のカーゴレースでは、現地で合流したヤマトで働くケンさん、そしてシドニーでメッセンジャーを続けているジュンゾー、そしてオーガナイズチームにも協力してもらい、僕らはチェックポイントを担当。時間が押してしまったことで、夜、そして雨の降る中でのタフなカーゴレースとなった。

これまでも参加したCMWCではメインレースを走ってきたが、今回も走ってみて、改めて特別なレースだと感じた。スピードの優劣や思い入れの大小はあっても、このスタートラインに立つことは、メッセンジャーとしての誇りであってほしいと思う。僕自身も、またここに立てたことの喜びを感じていた。

CMWC 2018 Riga
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DAY5

メインレースのファイナルが終わった後、チャンピオンになったコペンハーゲンのジャンボの目からは涙が流れていた。ジャンボはカーゴレースとの2冠。これまで幾度もECMC(European Cycle Messenger Championships)を制してきた屈強な巨人が、39歳のチャレンジで悲願を達成した。

その姿を見て感動を覚えると同時に、ジャンボほどの猛者ですら、意地でも勝ち取りたかったCMWCとは何なのだろう……と思いを巡らせた。

日本人では決勝にちかっぱ、サンテ、ジュンゾーが進出したが、最終的に3人とも5枚あるマニフェストの2枚目での足切りという結果に。この足切りという方式もCMWCでは珍しく、全力を出し切れなかった彼らの顔には悔しさが滲んでいたが、この経験を次のCMWCに繋げてくれることだろう。

メインレース後は、スイスのユーリに誘われて会場近くのサウナへ。掘建て小屋の投げ銭スタイル、さらに混浴のアウトドアサウナにカルチャーショックを受けつつ、叙情的な夕暮れの中、各国のメッセンジャーたちと文字通り裸の付き合いで“裏オープン・フォーラム”をしたことは忘れられない思い出だ。

最終日のアフターパーティーでは2020年の開催地が発表され、開催権を勝ち取ったのはボゴタ。ただし、驚きはなかった。なぜなら僕らもボゴタに投票したから。ボゴタのパフォーマンンスは素晴らしく、これまでの地道な準備や国内での実積はもちろん、今大会では女子のメインメンバーがトリック系で表彰台に登った。何より、向き合う人の心を動かしてしまう圧倒的なパッション。大会期間中に、みんながどんどんボゴタを好きになっていくのを肌で感じた。

ステージで歓喜に沸くボゴタのメンバーの姿を疑いなく心から祝福できた時、バーゼル、ボゴタ、そして僕らは、決して争ったわけではないことを実感するとともに、僕はすでに来年のジャカルタのことを考えていた。

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~エピローグ~

最後に、もう少しだけアフターパーティーでの出来事を紹介したい。

2日目で仕事に同行したリガのアルディスと、アフターパーティーで再会。急ピッチで酒を煽ったのもあったが、結果的に、僕らはCMWC史上最高に笑った。上手くは説明できない。CMWCをやり切った達成感と、みんなから伝わる幸福感、そしてなぜかTシャツの下半分を切っていたアルディスのアホさ加減などが全て相まって、腹がよじれるぐらい笑った。最終的に、僕は彼が着ていたジャージと、自分が着ていたスカジャンを交換。帰国後に思ったのは、アルディスはSNSをやっていないので、連絡先を聞けば良かったなということ。

再び会えるかどうかはわからない。もう一度会うには、こちらからリガに行くしかないかもしれない。ただし、僕らは彼との時間をきっと忘れないだろう。どんなにSNSが発達しようとも、CMWCのような現場でしか出会えない人もいる。その出会いは何よりも尊いものだと、アルディスは教えてくれた。

CMWCの悲喜こもごもを、今まで以上に体験できた今回のリガ。ただし、Road to CMWC Yokohamaはまだ始まったばかり。今回、僕らが行くにあたって、さまざまな形で協力してくれた方たちに感謝を述べたい。そしてもし、少しでも興味を持ったメッセンジャーがいるのなら、CMWC 2019 Jakartaに行こう。僕ら3人はジャカルタに行って、再び手を挙げるから。


CMWC 2018 Riga

text&photo by RASCAL
Instagram : @rascaaaaal
Web : www.facebook.com

2018.11.05
Encountermagazine